観測開始40年の波崎海洋研究施設(茨城県神栖市)で、四半世紀ぶりの大規模合同観測
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所(以下、港空研)は、茨城県神栖市の波崎海洋研究施設(HORS:Hasaki Oceanographical Research Station)の観測開始40周年を記念し、合同現地観測キャンペーン「HORS40th」を実施します。
波崎海洋研究施設は、太平洋に面した波崎海岸に全長427mの観測用桟橋を有する海洋観測施設です。1986年3月の観測開始以来、40年間にわたり波や砂浜の変化を継続して記録してきました。砂浜海岸でこれほど長期にわたる連続観測が続けられている例は世界的にも希少であり、海岸侵食対策や沿岸防災の研究を支える貴重な基盤データとなっています。
本キャンペーンでは、全国の大学・研究機関・民間企業など約40機関が波崎海岸に集まり、波・流れ・砂の動き・海底地形・水質などを、同じ時期に最新の観測技術で集中的に計測します。得られたデータは参加機関で共有され、海岸侵食や高波対策など、気候変動時代の沿岸防災研究への活用が期待されます。あわせて、多数の学生・若手研究者が現地観測に参加し、次世代の研究者育成の場ともなります。
| 名称 | 波崎海洋研究施設 観測開始40周年記念 合同現地観測キャンペーン(HORS40th) |
|---|---|
| 期間 | 2026年8月下旬 〜 9月中旬機器設置 〜 観測 〜 撤去 |
| コア日(重点観測日) | 2026年8月31日(月)・9月1日(火) |
| 場所 | 波崎海洋研究施設(茨城県神栖市須田浜)および周辺海域・海岸北緯35°50′・東経140°46′ ※位置は別紙 図1参照 |
| 参加規模 | 約40機関・グループ(大学・国立研究機関・民間企業)学生・共同研究者を含む実参加者数はこれを大きく上回る見込み |
| 主催 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所 |
| 後援 | 土木学会 海岸工学委員会 |
| 日時 | 2026年9月1日(火)14:30 〜 18:15 |
|---|---|
| 会場 | アートホテル鹿島セントラル(茨城県神栖市) |
| 内容 | 基調講演「波崎よもやま話」(栗山 善昭・沿岸技術研究センター 特別研究監/沿岸防災技術研究所長)ほか、現地観測・リモートセンシング・企業技術等の講演 計17件 |
※ 背景・観測内容・参加機関の詳細は別紙をご参照ください。
現地取材は、多数の観測が同時に行われるコア日(8月31日・9月1日)が適しています。9月1日午後の記念シンポジウムの取材も可能です。
取材をご希望の場合は、事前に下記【取材申込・広報に関する問合せ】までご連絡ください。現地は安全管理上、事前調整のない立ち入りはご遠慮いただいています。
桟橋上での取材にはライフジャケット等の着用が必要ですが、装備は当方でご用意します。
本キャンペーンでは一般の方の見学は受け付けておりません。また、施設周辺は道路が狭隘なため、周辺の交通にもご配慮くださいますようお願いいたします。
※ 記事等にご使用いただける写真・図版のご用意があります。ご希望の場合は下記までお問合せください。
※ 本キャンペーンの公式サイト:https://hors40.netlify.app/
波崎海洋研究施設(HORS)は、鹿島灘に面した波崎海岸の砂浜から沖合へ427m延びる観測用桟橋を備えた、港空研の海洋観測施設です。桟橋上から砕波帯(波が砕ける領域)の内部に直接アクセスできる施設は国内でも他に例がなく、荒天時を含めて安全に観測を継続できることが最大の特長です。
1986年3月の観測開始以来、毎日の地形測量や波浪観測を40年間継続しており、砂浜の変化を捉えた世界的にも希少な長期観測データとして、国内外の研究に活用されてきました。1998年・1999年には全国の研究者が集う大規模合同観測「HORS98」「HORS99」が行われ、砕波帯の複雑な物理現象の解明に大きく貢献しました。本キャンペーンはその精神を受け継ぐ、約四半世紀ぶりの大規模合同観測です。
陸上の砂丘から波打ち際、波が砕ける砕波帯、沖側の海底、さらに上空・宇宙まで。沖に向かって深くなる同じ砂浜の断面を、それぞれ得意分野の異なる約40機関が同時に観測することが、本キャンペーン最大の特徴です。
| 砕波帯 | 沖からきた波が砕けて白波となる、岸沿いの帯状の領域。砂が最も活発に動く一方、波が激しく観測が難しい海域です。 |
|---|---|
| ADCP | 超音波を利用して水中の流れの分布や波を計測する装置。 |
| ROV | ケーブルでつながれた遠隔操作型の水中ロボット。海中・海底の様子を撮影・計測します。 |
| UAVレーザ測量 | レーザースキャナを搭載したドローンによる測量。砂浜の地形を面的に高精度で捉えます。 |
参加各機関が最新の観測機器を持ち寄り、同じ海岸を同じ期間に多角的に観測します。
| 大学 | 横浜国立大学、東京大学、筑波大学、北海道大学、東北大学、中央大学、京都大学、大阪公立大学、大阪産業大学、茨城大学、三重大学、東京海洋大学、東京都立大学、愛媛大学、海上保安大学校、University of East London ほか |
|---|---|
| 国立研究機関等 | 産業技術総合研究所、水産研究・教育機構、電子航法研究所、港湾空港技術研究所 ほか |
| 民間企業 | Nortekジャパン、ハイドロシステム開発、ソニック、Synspective、東洋建設、不動テトラ、アルファ水工コンサルタンツ、東京建設コンサルタント、フィールドデータラボ、ニホヘ合同会社 ほか |
※ 参加機関・参加者は今後変更となる場合があります。
2026年9月1日(火)14:30〜18:15/アートホテル鹿島セントラル(茨城県神栖市)
気候変動に伴う海面上昇や台風の強大化により、海岸侵食や高波・高潮のリスクは今後さらに高まると予測されています。実際の海岸で何が起きているかを正確に測ることは、こうしたリスクに備える海岸保全・防災対策の出発点です。
本キャンペーンでは、40年の観測の蓄積の上に、現代の最新観測技術による高密度なデータが加わります。同じ波・同じ砂浜を多数の機器で同時に測ることで、それぞれの計測技術の精度検証が可能となるほか、砕波帯の複雑な現象の解明に向けた貴重なデータセットが得られます。取得データは参加機関間で共有され、今後の研究成果の創出につながることが期待されます。