国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所
港湾空港技術研究所 Port and Airport Research Institute
令和8年8月7日
波崎海洋研究施設 観測開始40周年

全国の約40機関が集う大規模合同海岸観測
「HORS40th」を実施します

観測開始40年の波崎海洋研究施設(茨城県神栖市)で、四半世紀ぶりの大規模合同観測

波崎海洋研究施設の観測用桟橋(全長427m)
HORS40th ロゴ
波崎海洋研究施設の観測用桟橋(茨城県神栖市・波崎海岸)
  1. 今年、観測開始から40年を迎えた波崎海洋研究施設(茨城県神栖市)において、全国の大学・研究機関・民間企業など約40機関が参加する大規模合同観測「HORS40th」を、2026年8月下旬から9月中旬にかけて実施します。
  2. 8月31日(月)・9月1日(火)は「コア日」と位置づけ、多くの機関が集中して観測を行います。潜水士による海中への機器設置に加え、ドローン、水中ロボット(ROV)、人工衛星など最新の観測技術が波崎海岸に集結します。1998・99年の大規模合同観測(HORS98/99)以来、約四半世紀ぶりの取り組みです。
  3. 9月1日(火)午後には、40年にわたる観測の歴史と最新の研究成果を共有する記念シンポジウムをアートホテル鹿島セントラル(神栖市)で開催します。
40継続してきた観測
約40機関全国から参加
427m観測用桟橋の全長
17記念シンポの講演
主催 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
港湾空港技術研究所
後援 土木学会
海岸工学委員会
HORS40th/波崎海洋研究施設 観測開始40周年記念 合同現地観測キャンペーン1 / 6

発表概要

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所(以下、港空研)は、茨城県神栖市の波崎海洋研究施設(HORS:Hasaki Oceanographical Research Station)の観測開始40周年を記念し、合同現地観測キャンペーン「HORS40th」を実施します。

波崎海洋研究施設は、太平洋に面した波崎海岸に全長427mの観測用桟橋を有する海洋観測施設です。1986年3月の観測開始以来、40年間にわたり波や砂浜の変化を継続して記録してきました。砂浜海岸でこれほど長期にわたる連続観測が続けられている例は世界的にも希少であり、海岸侵食対策や沿岸防災の研究を支える貴重な基盤データとなっています。

本キャンペーンでは、全国の大学・研究機関・民間企業など約40機関が波崎海岸に集まり、波・流れ・砂の動き・海底地形・水質などを、同じ時期に最新の観測技術で集中的に計測します。得られたデータは参加機関で共有され、海岸侵食や高波対策など、気候変動時代の沿岸防災研究への活用が期待されます。あわせて、多数の学生・若手研究者が現地観測に参加し、次世代の研究者育成の場ともなります。

実施概要

名称波崎海洋研究施設 観測開始40周年記念
合同現地観測キャンペーン(HORS40th)
期間2026年8月下旬 〜 9月中旬機器設置 〜 観測 〜 撤去
コア日(重点観測日)2026年8月31日(月)・9月1日(火)
場所波崎海洋研究施設(茨城県神栖市須田浜)および周辺海域・海岸北緯35°50′・東経140°46′ ※位置は別紙 図1参照
参加規模約40機関・グループ(大学・国立研究機関・民間企業)学生・共同研究者を含む実参加者数はこれを大きく上回る見込み
主催国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所
後援土木学会 海岸工学委員会

記念シンポジウム

日時2026年9月1日(火)14:30 〜 18:15
会場アートホテル鹿島セントラル(茨城県神栖市)
内容基調講演「波崎よもやま話」(栗山 善昭・沿岸技術研究センター 特別研究監/沿岸防災技術研究所長)ほか、現地観測・リモートセンシング・企業技術等の講演 計17件

※ 背景・観測内容・参加機関の詳細は別紙をご参照ください。

HORS40th/波崎海洋研究施設 観測開始40周年記念 合同現地観測キャンペーン2 / 6

スケジュール

8月29日(土)・30日(日)
潜水士による海底への観測機器の設置
8月31日(月)・9月1日(火) = コア日
多くの機関が集中して観測、海底の砂の採取 ほか
9月1日(火)午後
記念シンポジウム(アートホテル鹿島セントラル)
9月2日(水)以降 〜 9月中旬
観測機器の回収・撤収

取材のご案内

現地取材は、多数の観測が同時に行われるコア日(8月31日・9月1日)が適しています。9月1日午後の記念シンポジウムの取材も可能です。

コア日に取材いただける主な場面

潜水士による海中への観測機器の設置
ドローン(UAVレーザ測量)の飛行
水中ロボット(ROV)の投入
全長427mの桟橋上での観測作業
海底の砂の柱状採取
全国から集まった学生・若手研究者の活動

取材をご希望の場合は、事前に下記【取材申込・広報に関する問合せ】までご連絡ください。現地は安全管理上、事前調整のない立ち入りはご遠慮いただいています。

桟橋上での取材にはライフジャケット等の着用が必要ですが、装備は当方でご用意します。

本キャンペーンでは一般の方の見学は受け付けておりません。また、施設周辺は道路が狭隘なため、周辺の交通にもご配慮くださいますようお願いいたします。

※ 記事等にご使用いただける写真・図版のご用意があります。ご希望の場合は下記までお問合せください。

※ 本キャンペーンの公式サイト:https://hors40.netlify.app/

【内容に関する問合せ】

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
港湾空港技術研究所 沿岸環境研究領域 沿岸土砂管理研究グループ
グループ長
伴野 雅之(ばんの まさゆき)
E-mail banno-m@p.mpat.go.jp

【取材申込・広報に関する問合せ】

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
港湾空港技術研究所 管理調整・防災部
企画調整・防災課
課長補佐服部 昌樹
研究企画係長東 健太郎
TEL 046-844-5040
E-mail pari-search@p.mpat.go.jp
HORS40th/波崎海洋研究施設 観測開始40周年記念 合同現地観測キャンペーン3 / 6
REFERENCE MATERIALS

施設の位置

鹿 島 灘鹿 島 灘 ( 太 平 洋 )( 太 平 洋 ) 茨城県茨城県 鹿嶋市鹿嶋市 神栖市神栖市 千葉県千葉県 銚子市銚子市 利根川利根川 波崎海岸波崎海岸 鹿島港鹿島港 犬吠埼犬吠埼 ★ 波崎海洋研究施設(HORS) 茨城県神栖市須田浜 北緯35°50′/東経140°46′ ◀ 東京都心へ 約90km◀ 東京都心へ 約90km (鹿島港の南 約12km、利根川河口の北側)(鹿島港の南 約12km、利根川河口の北側) N 0 10km 地図データ:© OpenStreetMap contributors
図1 波崎海洋研究施設の位置鹿島灘に面した茨城県神栖市の海岸、利根川河口の北側に位置します。

背景:波崎海洋研究施設と40年の観測

波崎海洋研究施設(HORS)は、鹿島灘に面した波崎海岸の砂浜から沖合へ427m延びる観測用桟橋を備えた、港空研の海洋観測施設です。桟橋上から砕波帯(波が砕ける領域)の内部に直接アクセスできる施設は国内でも他に例がなく、荒天時を含めて安全に観測を継続できることが最大の特長です。

1986年3月の観測開始以来、毎日の地形測量や波浪観測を40年間継続しており、砂浜の変化を捉えた世界的にも希少な長期観測データとして、国内外の研究に活用されてきました。1998年・1999年には全国の研究者が集う大規模合同観測「HORS98」「HORS99」が行われ、砕波帯の複雑な物理現象の解明に大きく貢献しました。本キャンペーンはその精神を受け継ぐ、約四半世紀ぶりの大規模合同観測です。

波崎海洋研究施設の銘板
図2 施設の銘板「運輸省港湾技術研究所」当時の名称が残る
砕波帯での観測の様子
図3 砕波帯での観測桟橋から波打ち際の砂の動きを計測
別紙 HORS40th/波崎海洋研究施設 観測開始40周年記念 合同現地観測キャンペーン4 / 6

観測配置の概要

陸上の砂丘から波打ち際、波が砕ける砕波帯、沖側の海底、さらに上空・宇宙まで。沖に向かって深くなる同じ砂浜の断面を、それぞれ得意分野の異なる約40機関が同時に観測することが、本キャンペーン最大の特徴です。

水深2m4m6m 海面 根元小屋 中間小屋 先端小屋 観測用桟橋(全長427m) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 0m(汀線)100m200m 300m427m(桟橋先端) 陸上・砂丘波打ち際 砕波帯(波が砕ける領域)沖側 ※ 模式図。鉛直方向は強調して表示しています。
図4 HORS40th 観測配置の概要(岸沖断面の模式図)番号は下表に対応。配置・機器はイメージであり、実際の設置位置・台数とは異なる場合があります。
陸上・砂浜から
1Xバンドレーダ(海面を面的に監視)
4飛砂・植生・波の音の観測(砂丘)
5堆積物の掘削調査(トレンチ)
6地形測量(RTK-GNSS)
7採水・地下水/砂中水分の計測
(環境DNA・マイクロプラスチック)
上空・宇宙から
2ドローン(UAVレーザ測量・空撮)
3人工衛星(SAR衛星等)
桟橋の上から
8波高計・電波式水面計・カメラ
9LiDAR(桟橋沿い12箇所)
10昇降式の水質・濁り・粒子の計測
113次元風速計・Webカメラ(先端)
海面・海中・海底で
12ADCP・波流速計の設置(潜水士)
13海底の砂の柱状採取(コアリング)
14水中ロボット(ROV)・音響測深
15GNSS波浪ブイ(海面に係留)
ねらい
同じ波・同じ砂浜を多数の機器で同時に測ることで、計測技術どうしの精度検証と、砕波帯の現象解明を進めます。

用語解説

砕波帯沖からきた波が砕けて白波となる、岸沿いの帯状の領域。砂が最も活発に動く一方、波が激しく観測が難しい海域です。
ADCP超音波を利用して水中の流れの分布や波を計測する装置。
ROVケーブルでつながれた遠隔操作型の水中ロボット。海中・海底の様子を撮影・計測します。
UAVレーザ測量レーザースキャナを搭載したドローンによる測量。砂浜の地形を面的に高精度で捉えます。
別紙 HORS40th/波崎海洋研究施設 観測開始40周年記念 合同現地観測キャンペーン5 / 6

キャンペーンの内容

参加各機関が最新の観測機器を持ち寄り、同じ海岸を同じ期間に多角的に観測します。

参加機関(例)

大学横浜国立大学、東京大学、筑波大学、北海道大学、東北大学、中央大学、京都大学、大阪公立大学、大阪産業大学、茨城大学、三重大学、東京海洋大学、東京都立大学、愛媛大学、海上保安大学校、University of East London ほか
国立研究機関等産業技術総合研究所、水産研究・教育機構、電子航法研究所、港湾空港技術研究所 ほか
民間企業Nortekジャパン、ハイドロシステム開発、ソニック、Synspective、東洋建設、不動テトラ、アルファ水工コンサルタンツ、東京建設コンサルタント、フィールドデータラボ、ニホヘ合同会社 ほか

※ 参加機関・参加者は今後変更となる場合があります。

記念シンポジウム 主なプログラム

2026年9月1日(火)14:30〜18:15/アートホテル鹿島セントラル(茨城県神栖市)

本キャンペーンの意義

気候変動に伴う海面上昇や台風の強大化により、海岸侵食や高波・高潮のリスクは今後さらに高まると予測されています。実際の海岸で何が起きているかを正確に測ることは、こうしたリスクに備える海岸保全・防災対策の出発点です。

本キャンペーンでは、40年の観測の蓄積の上に、現代の最新観測技術による高密度なデータが加わります。同じ波・同じ砂浜を多数の機器で同時に測ることで、それぞれの計測技術の精度検証が可能となるほか、砕波帯の複雑な現象の解明に向けた貴重なデータセットが得られます。取得データは参加機関間で共有され、今後の研究成果の創出につながることが期待されます。

以 上
別紙 HORS40th/波崎海洋研究施設 観測開始40周年記念 合同現地観測キャンペーン6 / 6